小熊弥生先生の億楽マインド講座がきっかけで、こども発達子育て応援家・保育コンサルタントの入江紀子先生とのご縁が繋がり、「子育てマスター講座」を受講させていただけることになりました。
我が家は、私を含め3人の子どもたちそれぞれに感覚に関する不思議な特性がたくさんあります。
理解したい気持ちはあるけど理解に苦しむ…ということばかり。
先日、入江紀子先生の子育てマスター講座で感覚統合理論の概要を学び、特に目に見えない部分の感覚には人によって大きな幅があることや、もともとの脳の機能に凸凹があることが原因となっていることなど、新たな気づきが山ほどありました。
知っているか知らないか、視点が増えるだけで子どもたちのいわゆる問題行動に対する見方がガラッと変わるんですね。
その子の感覚に関する特性に合わせて支援していくことで、生きづらさがかなり減りそうだな~ということもわかったので、我が家の事例を挙げながらまとめてみたいと思います。
我が家の感覚に関する不思議な特性

うちの家族はそれぞれ感覚に関するいろんな特性を持っています。
寝ていてもゴキブリの這う音が聞こえるほど聴覚が敏感。絶対音感はないけど相対音感あり(微妙なハモリのずれがわかる)。騒がしい場所は好きじゃない。小さい頃は腐った料理を嗅ぎ分けられなかった。足の小指をよくぶつける。超猫舌。針と糸が超苦手。
嗅覚が敏感でにおいで本やノートを嗅ぎ分ける。車のシートの色で違うにおいを感じる。絶対音感あり。手先を使う細かい作業が苦手だけど、ピアノの腕前と暗記力は天才的。小さい頃は運動全般が苦手で、体の動きがちぐはぐな感じだった。小学生の頃は飲まず食わずで一日中レゴの組立に没頭。色分け分類などをせず、床に全部のレゴを広げその中からパーツを探すのが得意。
筋肉が柔らかく重力に逆らうのが苦手で、姿勢保持が難しく家では寝転がっていることが多い。小さめのファスナーを触るときの感触が好き。陸上の運動は苦手だけど水泳は得意。動作は荒めだけど、工作や絵など細かい作業は得意。
大音量を聞くこと、叫ぶこと、水の流れ、強い振動、ジャンプ、風や波を感じるのが大好き。壁紙などを剥ぐのが好き。小豆、粉類、粘土の感触が好き。クルクル回る物、ヒラヒラ揺れる物を見るのが好き。圧迫されるのが好き。物を叩きつけるのが好き。本をパラパラめくってほっぺたをかすめる感覚が好き。小さい頃、揺れが苦手で悪天候の飛行機に乗ってしまいパニック。(6歳でブランコの揺れは克服)。夏のアスファルトでもじゃり道でも余裕で裸足。手先を使う細かい作業は苦手。
ざっと書き出しただけでも、こんな感じです。
聴覚、視覚、嗅覚、味覚については、周りから見ていても「ああ、この子はこういうのが好きなのね/嫌いなのね」というのがわりとわかりやすいです。
しかし、それ以外の目に見えない感覚については我が子であっても理解が難しく、特にうちの末っ子が所かまわずぴょんぴょん飛び跳ねたり、物を思いっきり叩きつけてキャッキャッと喜んでいる姿は「変」としか思えなかったんですよね。
我が家の家族は凸凹のオンパレードなので、長年つきあってみれば「そういうこともあるよね」と思えるところまではきたのですが、感覚統合理論を知ってからは「そういうことだったのか!」と腑に落ちることがたくさんありました。
末っ子がぴょんぴょん飛び跳ねるのも、娘の姿勢保持が難しいのも、長男が中学生になるまで靴ひもが結べなかったのも、母ちゃんが裁縫苦手なのも、その他もろもろも全部、本人の努力不足ではなかったんです。
むしろ、本人は園や学校でめちゃくちゃ頑張っていたんですね。
それを無理やり正そうとしたり、頑張らせようとしていたことを猛反省しました。
感覚統合とは?

感覚統合というのは、脳に入ってくるいろんな感覚をまとめたり整理したりする働きのことです。
例えば、ペンを持ってノートに何か書くとき、私は右利きなので右手でペンを持ち、左手でノートの紙を押さえるという行動を無意識のうちにやって、スムーズに書き物ができるように動いています。
また、カフェなどで周りがざわざわしている場所でも、誰かと話をするときは相手の声をちゃんと聴きとることができます。
このように、自分の身体を使ったり、道具を使ったり、人とコミュニケーションをとったり、周りの環境とうまく関わることができるということは、感覚統合がうまくいっているということなんですって!
逆に感覚統合がうまくういかないと、何かに集中し過ぎて呼びかけても反応しなかったり、集中すべき場面で他のことが気になって落ち着かなかったり・・・
情緒面・行動面・学習面・対人コミュニケーション面などでいろんな問題が起こってきます。
発達障害のある子などへのリハビリの一つ「感覚統合療法」を考案したエアーズ博士によると、感覚統合がうまくいっていない状況は
と表現されています。
具体的には
などのいろいろな困りごとが生活の中で現れるのです。
こういうことって、知らないと「こんなこともできないの?サボってるんじゃないの?」と思われるようなこともありますよね。
我が家の場合、長男と末っ子は小さいころから発達に関する特性がわかりやすかったので「支援が必要だな」とすぐに気づけたのですが、娘に関しては「何でも頑張ればできる」と思い込んでいたのです。
「姿勢が悪い=やる気がない」ではない?

現在小6の娘は、いわゆる「定型発達」に入ると思います。
小さい頃から身の回りのことは何でも自分でできるようになり、外で遊ぶのも大好きだったんですが、だんだん面倒くさがるようになって、保育園のマラソン大会や小学校の運動会などでは「やる気がなさそう」に見えていました。
大きくなるにつれてどんどん姿勢も悪くなり、外に出ることさえも嫌がるようになり、休みの日は一日中転がってゲームをしています。
自転車はすぐに乗れるようになったし、水泳を習っていたときはめちゃくちゃ上達が早くて、私もできないクロールのターンも軽々マスターしたんですよね。
運動神経が悪そうな感じではないのに走るのは極端に遅く、跳び箱の授業では着地を失敗して骨折したこともあり、その姿がとにかく「やる気がなさそう」にしか見えなかったんです。
そして、何だか、何事に対しても自信がなさそう。
学校の先生からはいつも「よく頑張っています」と褒められるのに、娘は学校に行くこと自体が「面倒くさいからイヤ」と言うようになってきました。
そして、5年生の持久走大会でダントツビリになった翌日から本格的に学校へ行かなくなりました。
最初は「サボっているのかな」と思ったんですが、なんだかそれとも違うような気がするし・・・
モヤモヤしながらも「無理やり行かせたり頑張らせたりするのは絶対に違う!」と思ったので本人が動き出すまで見守ることにしました。
そして今回、感覚統合について学んだ時に、入江先生から「娘さんは感覚統合がうまくいっていないのかも」と言われ「そうかもしれない!」と思ったんです。
本人は一生懸命頑張っているつもりなのに、発達の土台となる部分がぐらついているので、できないことがたくさんある。
でも大人から見るとサボっているように見えたり、やる気がないように見えたりするから「もっと外で身体動かしたら?」とか「走る練習一緒にやろうか」とか「背筋伸ばして!」などの余計なアドバイスや注意を受けてしまう。
これじゃ、本人は自信が持てるどころか、何事に対してもやる気が出てこないだろうな、ということがやっと腑に落ちたのです。
感覚統合で大事なこと

感覚統合では遊びを通して、
- 子どものやりたいことに満ちた頭
- やりたいことができる体
- できる!という実感
を育むことがとても重要だという話を聞いて、なるほどな~と思いました。
感覚統合のピラミッド🧐
小学校に入学するまでに感覚の基本が備わっていないと教室でいろいろと不自由する。
前々からの家遊びの習慣
コロナでのステイホーム
蛇口など装置の便利さが、子供の感覚統合の学びの機会を減らしているのかもしれない
納得感を感じます
まるで僕の紹介文w#感覚統合 pic.twitter.com/G5zvxBLElu— 発達障害 令和を生きる ※情報配布アカ (@mirai4510) January 17, 2023
感覚統合ピラミッドの一番下の段が、発達の土台と言われている感覚の部分で、特に重要なのは
- 前庭感覚
- 固有受容感覚
- 触覚
です。
この土台部分がグラグラしていると、上に積みあがっていく部分もグラグラ。
集中力やコミュニケーション、学習や集団行動ってピラミッドの上の方にあるんですね。
なので、上の部分の内容だけを繰り返し練習するよりも、土台部分を十分に育てたほうが上の部分にも良い影響がある、ということなんです。
前庭感覚(動きの感覚)

前庭感覚とは、揺れ、傾き、重力、スピード感などを感じとる感覚のことで、姿勢保持やバランスの土台となります。
例えば、授業中に机に座ったままうたた寝をしたとき、頭がガクンとなるけどすぐに真っ直ぐにしようとしますよね。
それは、前庭感覚がきちんと働いてくれている、ということなんです。
うちの末っ子は特に前庭感覚が未熟で、5歳後半くらいまでブランコなどの揺れを怖がっていたんですよね。
療育の先生が「揺れを克服すると、遊びの幅が広がるよ~」とおっしゃっていた意味が、今やっとわかりました。
小さな揺れから少しずつ少しずつ慣らしていって、今ではブランコにも自分から乗るようになり、大きな揺れも楽しめるようになってきたんです。
そのお陰か、ふにゃふにゃだった体幹がだいぶしっかりしてきて、椅子に真っ直ぐ座っていられる時間も増えてきました。
固有受容感覚(筋肉の感覚)
固有受容感覚は、自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚です。
例えば、消しゴムで文字を消すときに、ノートがくしゃくしゃにならずに程よい力加減で消しゴムを動かすことができるのは、固有受容感覚が適切に働いているからなんですね。
また、こたつのなかに足を入れた時。足は見えなくなるけど、どこに足があるのかがわかる、というのも固有受容感覚さんのお陰なんです。
うちの末っ子は圧をかけられるのが大好きで、思いマットや敷布団の下に入って寝転んだり、ギューッと抱きしめられるととても落ち着きます。
このように、固有受容感覚は脳の覚醒や気持ちのコントロール、ストレス解消にも関わっているんですって。
真ん中の娘がよくゴロゴロ転がっているのも、重力に逆らうことで疲れているんだと思うのですが、ビーズクッションを買ってみたところ、ギュッと包み込んでくれる感じがとても心地良いようで、とても落ち着いて過ごしています。
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娘はバランスボールも大好き!これは前庭感覚と固有受容感覚、さらに起立反射の発達が促されるとのこと。
ゲームをするときはバランスボールに座って、楽しみながらやるようになりました。
私も本を読むときなどにバランスボールに乗ってます。これが気持ちいい~!
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固有受容感覚の発達を促すには、筋肉にギュッと力を入れる遊び、例えば腕相撲やジャンプ、タオルを引っ張りあいっこしたりするのも有効的。
「とにかく落ち着きがない」と思われるような子は、座って勉強するときに重いひざ掛けなどのグッズなどを活用するのも良さそうです。
▼「重いひざかけ」は手作りもできますが購入することもできます
触覚

触角の遊びは愛着や心地よさ、手先の細やかな動作を支える感覚を育みます。
情緒面との関係が深く、対人交流の基盤となると言われています。
触覚の発達を促すには、砂遊び、水遊び、粘土、スライム遊びなどを多く取り入れるといいそうです。
ただ、触覚が過敏な子もいるので苦手なことは無理にさせるのではなく、道具を介して触れてみるなどの配慮が必要です。
うちの娘は、小さいころから使っている枕カバーのファスナーを触るのが大好きで、大きくなった今でも小さな枕と枕カバーを離そうとしません。
寝る時にそのファスナーを触りながら寝るとすごく落ち着くそうなので、自分から手放すまでは使い続けてもらおうと思っています^^
感覚探求

感覚探求というのは、刺激に対して反応が弱い(感覚鈍麻)ために、ある種の感覚に対して強い刺激を求める行動のことをいいます。
我が家の末っ子は、この感覚探求が激しく
- 真夏のアスファルトや砂利道の上を裸足で歩く
- 所かまわずぴょんぴょん飛び跳ねる
- テレビと動画の音量を同時にMAXにして耳に押し当てて聞く
というような行動が多いです。
これも感覚統合がうまくいっていない、という原因が考えられるんだな~ということがわかりました。
- 自分と外界との境目がわかりにくいから、壁や人を触ってしまう(触覚)
- 触り心地らわかりにくいから、必要以上に強く触ってしまう(触覚)
- 力加減がわかりにくく、強い刺激が心地よいから友達に力強くぶつかったり、つま先立ちをしたりする(固有受容覚)
以前は感覚のことについて私も理解がなかったので、とにかく「どうやってやめさせるか」ということばかりを考えていたんです。
それが癇癪やパニックにもつながっていたんだと思います。
しかし、感覚探求も本人にとっては心地良い感覚刺激を十分に得るための大切な機会であり、必要としている感覚刺激を十分味わうことで発達につながるということがわかったので、危険がなければできる範囲で満足するまでさせるようにしています。
そう割り切ってからは、末っ子の癇癪やパニックもずいぶん落ち着いてきました。
まとめ
子ども達の困った行動には、感覚統合がうまくいっていない可能性があるということがわかり、視野がぐんと広がりました。
感覚統合だけがすべての解決の糸口ではないとは思うのですが、知っているか知らないかで、子どもの困った行動に対する見方が大きく違ってくると思います。
困った行動に対し、大人が禁止したり怒ったりし続けることで子どもが自信を失ったり、不登校や引きこもりになる「二次障害」に繋がることも多いと聞いて、ハッとさせられました。
その子の好きな感覚や苦手な感覚に気づいて「怒らなくていい環境を作る」ことで、生きづらさがずいぶん減らせるのではないかと。
目に見えない世界だし、人それぞれ好きな感覚、嫌いな感覚は全然違うし、数値などで測ることができないからこそ、お互いを思いやって理解しようと意識するだけで、もっと優しい世界になるんじゃないかな~、なんてことを考えさせられました。
子どもの問題行動で悩んでいる方へ、少しでも参考になれば幸いです。